コロナ禍で夏休みの海外旅行ができなくなって以降、その代わりに信州長野に行くようになった。軽井沢での滞在は決定事項で、関西から軽井沢に行くには東京経由や金沢経由で北陸新幹線というルートもあるものの、実を言うと私は少し乗り鉄気質があり、時間がそれなりにあるのならということでここ数年は青春18きっぷを利用している。以前から鉄道の日乗り放題パスで西の方面には在来線でも何度か行ったことがあるのだが、東は名古屋までしか行ったことがなかったので、軽井沢まではどういったルートで行けるのだろう、と興味本位で検索してみたことがきっかけだ。
何と言っても中央線で中津川から塩尻までのルートが川沿いの山中を通るのですっかり気に入ってしまった。しかも長野の鉄道も景色が美しいルートが多く、山梨県の小淵沢駅では裏側から富士山を望むことができ、JR鉄道最高地点を通る小海線もある。私は一年目は小海線を利用して一日で神戸から軽井沢まで行ってしまったのだが、二年目の去年は松本に一泊し、二日かけて篠ノ井線で向かった。
そして、三年目の今年は、だ。実は去年の松本滞在が大変楽しい思い出になったので、今年もやはり松本に一泊することにした。妹が転職前の有休消化中で暇を持て余しているとのことで誘ってみたところ、行きたいということで今回は姉妹水入らずの二人旅になった。
妹は今年結婚して阪神間に住んでいるので、それぞれ朝6時台の快速に乗って大阪で合流し、新快速で米原へ。この季節、6時台でもそれなりに人は多いしタイミングを逃すと座れないこともある。私はすでに承知のことではあるものの、こういった旅が初めての妹は驚いていた。なんとか二人とも席を確保することができたがバラバラだったので、米原まではそれぞれ爆睡して過ごした。米原も毎年利用客が多いなと思う。米原からは大垣行きの電車に乗り、大垣でまた名古屋行きに乗り換え。大垣駅の人の多さに妹は辟易していた。ただ名古屋行きの電車はそれなりに座れる余裕があったので、私も大垣駅でのあの大量の乗客たちはどこへ向かったのかまったく分からなかった。
名古屋で一旦改札を出る。電車に乗る際はそれぞれICカードで改札を通っていたので、ここで18きっぷを出して二人分の検札をしてもらった。私一人の場合はいつもこのまままっすぐ中津川に行ってしまっていたのだが、今回は妹と一緒ということで…食に対して並々ならぬ情熱を向ける私たちである。電車内で話しているうちに名古屋でモーニングを食べようということになったのだ。
調子に乗ってべらべらと喋りながらホットコーヒーを氷入りグラスに注いでいたせいで*1カップからコーヒーがじょろじょろとエビフライサンドに零れてしまい、私は責任をとりコーヒーに浸された部分のエビフライサンドを食べることになったが、苦みを含んだ食パンもそれなりに美味しかった(やせ我慢)。ちなみに名古屋の地下街はとても分かりづらかったので、コンパルに辿り着くまでに相当うろうろした。
そんなこんなでモーニングを済ませ、滑り出し好調な食い倒れ電車旅(途中から目的が変わりつつあった)。私は長野までの中継地、岐阜県の中津川も結構気に入っているので、そこでも時間を取ってカフェに行くつもりにしていた。
去年一昨年にお邪魔していたのはこちらのカフェ。蔵を改装した店内は雰囲気も良く、珈琲も焼き菓子もとても美味しかったのだが、もう一軒、気になっていたもののこれまで定休日で行くことができなかったカフェに行くことに。
riverbedcoffee-brewer-roastery.com
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何しろ天気が良すぎてじりじりと灼かれているのを実感する陽射しの中。それでも中津川の駅を降りたときに目の前に構える恵那山の力強さがかっこよくて必ず中津川で滞在する時間を取りたくなってしまうのだった。
ここからが、乗っているだけとはいえなかなかの長旅。およそ2時間半かけて松本へ向かう。ワンマン電車のため、駅の改札ではなく電車を降りる際に車掌さんに切符を渡すバスのような方式だ。この中央西線は山中を木曽川に沿って進むのだが、車窓からの景色が美しくて気に入っている。各駅停車のため、それぞれの駅の雰囲気を見るのも楽しい路線である。ただ今回は何度も言わずにはいられないほど陽射しが強い日だったので窓を全開というわけにはいかず、日灼けを気にしながらの道中となった。ちなみに、名古屋から乗る際は進行方向に向かって左側の席に乗ることをおすすめしたい。
17時前に松本へ到着。私は何度か訪れているので駅前の雰囲気もなんとなく知ってはいるものの、妹はまったくの初めてでその賑わい様に驚いていた。お盆休みのシーズン、しかも快晴ときたら当然登山客も多い。それに当日はお祭りでもあるようで、浴衣姿の地元の人たちもちらほら見かけた。
駅を降り、当日の宿、私が松本を好きになった理由のひとつでもあるゲストハウス「tabishiro」へ。駅からはだいたい徒歩15分ほど。17時ともなると少し陽射しも和らいではきたものの、日向に出るとまだ暑いのでできるだけ日陰を選んで歩く。松本の雰囲気を妹に解説しつつも、18時から本日のメインイベントであるタビシロのサウナを予約していたので、気がはやり急ぎ足になっていた。
tabi-shiro.com
何を隠そう妹は各地のサウナを目当てに夫婦で旅行するほどのサウナーである。私は到底足元には及ばないものの、「サウナ好き」と名乗っても良いとは思うレベルにはサウナが好きだ。タビシロを知ったのも長野のサウナスポットを探して見つけたことがきっかけだった。ただタビシロのサウナは時間制の貸し切りのため去年は枠に空きがなく入ることが叶わず、満を持して今年、初体験である。気になる方は早めに予約しておくことをお勧めする。
100℃超えのサウナ、間近で感じるロウリュ、キンキンの松本の水風呂、サ室で飲むオロポ、そして他人を気にする必要のない外気浴!!最高の時間だった。もう滝汗どころではない。爆汗である。妹は夢だった「サ室でオロポ」を体験できたことにいたく感動していて、おすすめした側としては喜ばしい限りだった。
ひと枠100分の時間制となっていて、4周してずいぶん外気浴もしたが、それでも割と時間に余裕があった。高温すぎてサ室の中にいる時間が少なくても十分だったからかもしれない。特に3周目と4周目の爆ととのい具合は今まで体験した中で最高レベルで昇天寸前だった。ありがとうタビシロサウナ。
サウナから出てシャワーを浴び*2、すっきりして荷物を置きに部屋に向かおうとしたところ、廊下の向こうが何やら賑やかな様子。覗いてみると着物姿の女性とタビシロのスタッフさんがおられ、今日は花火大会で今から上がるのでよかったら、と。
関西の花火大会も人混みが好きではないせいで特に行くこともなく夏を終えそうだったので、とてもラッキーだった。ちなみに着物姿の女性に「素敵な浴衣ですね」と声をかけたところ「これ夏着物なんですよ~」とのこと。確かに浴衣にしては生地が厚かったので、そういうものもあるのだなと勉強になった。いずれにしても、着物で花火を楽しむなんて相当素敵な夜の過ごし方、である。
そんなこんなで花火を楽しんでいたところ事件が!
なんと脱いだパンツをシャワー室に忘れてしまっていたらしく、スタッフさんが「あの…どなたかパンツ忘れてませんか?」一応綺麗に畳んではいたものの、あまりに申し訳なく恥ずかしすぎて旅の恥は搔き捨てとはとても言い切れなかった。いや事件でも何でもないしその節はすみませんでした。
「瀞」はカウンター7席の小さなお店だが、その分ほかのお客さんや店主の方との会話を楽しむことができ、本当に最高の夜になった。去年も感じたが、松本はどこに行っても誰とも一人でも楽しめるとても素敵な街だと思う。旅での良い思い出は、そのままその街の印象になる。
このあと二人してこしあんバー「おふくアイスマック」を食べながらタビシロに戻り、二段ベットの上で下着姿で爆睡した。暑すぎて。*3