あのひと、

冬ものがたり―ものがたり12か月

冬ものがたり―ものがたり12か月

荻原さんの短編が載っているということなので探して立ち読み笑(だって7ページとかなんだもん)。なんだか涙が出そうになりました。“あのひと”に会うためにこの世界に生きている、いつか会うときのために恥ずかしくない人間になろうとする、ひろみがとてもいじらしいというか、まっすぐで、やっぱり荻原さんの描く女の子はつよいなあとおもうのです。でもこのあと、『樹上のゆりかご』につながっていくんだよね。そう考えると、『あのひと』でひろみが過ごしている時間が味気のないものでも、この先少し違ったものになっていくのだなとおもうと安心もしたり。
一人称だと文章の感じも違うなあ。それでもやっぱり荻原さんの書くものがたりが、ことばがとても好き。久しぶりにかぎを読みたくなりました。