物語でないものにも手を出したくなってきました

まったくジャンルの違う二冊。


日本の神話・伝説を読む―声から文字へ (岩波新書)

日本の神話・伝説を読む―声から文字へ (岩波新書)

新書。この手のものはジャンルや時代が違えど卒論を書くためにいくつか読みはしましたが、離れてから急に近づきたくなるものですね。たいへん興味深くて面白かったです。噛み砕いて読もうとおもうとすごく時間がかかるけれど、著者の心遣いですごく分かりやすくすんなり読むことができました。やっぱり神話って面白いし、興味深いものだなと改めておもいました。
一方で口伝で伝えられるものの不確かさにちょっと不安を覚えたりも。当たり前なんだけど、ことばを文字にすると意味が限定的になってしまうんだよね…本当当たり前のことなんですが、いままであまりしっかり考えたことがなかったので、なるほどという感じでした。しかもそれも語る人によってその文字へのおこし方も変わっていくし、それによって伝わり方も変わっていくんですよね。うーん、もともとはすごくシンプルなものが、人によってさまざまに肉付けされていくというのは面白いとおもいますが、反対にもともとの意図するところが見えなくなってしまったりもするのかなあと。ていうか昔の人はものすごくシンプルな話からすごくたくさんの意味を汲んでそこに登場する名前や物をプラスしていったのかと考えるとなんかすごいなとおもいました。
あと、神話ってやっぱり繋がってるよなーと改めて。イザナギイザナミの話とオルフェウスとエウリュディケの話がすごく似ているというのは有名かとおもいますが、今回取り上げられていた倭迹迹姫命と大物主命の話と何か似た話がギリシャ神話にあったような…とおもって調べてみたら、エロスとプシュケの話に似ているんじゃないかなと。すごく似ているというよりは、似た部分がいくつかあるという印象を受けたという話ですが。ああなんかほんとにおたくっぽくなってしまってすみません。でも面白いんだもんこういう話…!あと荻原ファンとしてはすがるの話が出てきてうれしかったのと、百襲姫(倭迹迹姫命)の話が出てきて嬉しかったのと(笑)。


うたってよ、わたしのために (心にのこる文学)

うたってよ、わたしのために (心にのこる文学)

まあ、言ったらものすごくものすごい児童書なんですが、中学生ぐらいのときだったかなー、読んですごく心に残っていたのに手元に置いてなかったので欲しいなあと買ってみました(図書館で読んだ本でも気に入った本はだいたい手元に置いておきたいので買うのです)。なんかもう絶版みたいで、アマゾンになかったので7&Yで見つけてそっちでぽちっとな。
話の内容はだいたい覚えていて、すごく好きだったなということも覚えていたんだけれど、やっぱり中学時代といまとでは違うなあと。あの頃感じた想いを、いま感じることはできなかった。でも、この話ができた背景はとてもいいな。あんな物語との出逢い方をわたしもしてみたいとおもいました。