映画『溺れるナイフ』


時間ができたので、公開初日、初回に観に行ってきました。一日経ってもなんかいろいろ考えていて、たぶんうまく文章にまとめられないだろうけど、その“なんかいろいろ”思ったことをひとまず残しておきたいなと思ったので、ひさびさにダイアリを書いています。
とにかく私は原作の漫画が本当に大好きで、もちろん全巻持っているし、連載中は先が気になりすぎて単行本が待ちきれず別フレを買っちゃったりするぐらい好きだったので、映画化を知った時は本当に嬉しかったし、すっごく楽しみで、キャストは誰なんだろうーーーーって考えたり、続報も待ち遠しくって、絶対観に行こうと思っていました。キャストは主人公の夏芽の小松菜奈ちゃんも、コウちゃん役の菅田くんも、大友役の重岡くんも、カナちゃん役の上白石萌音ちゃんも、まさにそこ!!ドンピシャ!!!って感じでメインキャストにはなんの文句もなく。だからこそ、あそこが違うあれはああだったとか思いたくなくって*1、原作と映画は全く別物であって同じものではないし、17巻を約2時間にまとめられるわけがないということをちゃんと心に留めて観ようと思っていたんですが…まあ、結果やっぱりストーリー知ってるからまったくまっさらな状態では見れてないし純粋には見れなかったけど\(^o^)/
以下はそういうすごく原作のファンの人から見た感想です。個人的に書き残しておきたいだけなので、観ていない人への紹介とか配慮みたいなものは、ないよ!(笑)

  • ひとまず言いたいこと

と、いうわけで、純粋に映画として観るようには努めたんだけど、いいなと思ったところやうーん?と思ったところも当然いろいろあって。その時点でやっぱ原作を絡めて観てしまってるってことなんだけど(笑)ただ観終わって最初に思ったのは「なんかコウちゃんの救いがない…」ってことでした。ここがやっぱりどうしてもひっかかってしまって、そう思ってしまった時点からあの美しいラストシーンも、悲しいものに見えてしまって、観終わったあとずっと悶々と考えてしまった。
夏芽を襲った男がまた現れたこと、コウちゃんが助けに来たこと、そして、その男が死んだこと。火祭り*2での神様が宿っているかのような神々しいコウちゃんと、夏芽の回想なのか夢なのかわからないような場面がまぜこぜになって、何が現実で何が夢なのかをわからなくさせているけど、その後のカナちゃんとの会話、血のついたナイフが海に沈んでいくシーンを見るとやっぱり現実なんだなと思う(そして原作でも現実)。そして睨みつけながら言った「もうコウちゃんに会わんで」というカナちゃんの言葉のあと、出演した映画で夏芽が賞を取るシーンに移る。夏芽は(コウちゃんがそう願ったように)光の中に戻り、そしてまた浮上していくけれど、私は、じゃあコウちゃんは?とそこで思ってしまった。小屋で夏芽に「神さんのようにおりたかったわ」*3と言ったその気持ちが救われてなくて、それがすごく悲しかった。そのあとは夏芽が賞を受賞した映画のワンシーンを上映するという流れで夏芽と映画の相手役の俳優が白い服でバイクを二人乗りで走っていくのだけど、その俳優がいつの間にかコウちゃんに変わっている(これが予告で印象的なシーンだった)。二人はとても美しく、コウちゃんはふっきれたように笑っているけれど、あれはどうしたって現実にはなりえないし、夏芽の希望なんだとしたら都合がいいと思ってしまって、意図がよくわからなかった。これだとコウちゃんは闇を背負ったままあの土地で光を取り戻すことなく生きていくことになってしまうんじゃないか?とか、一緒に秘密を背負ったカナちゃんは?とか、なんかこう…腑に落ちなくて、なんともいえない感情になってしまったんでした。
でもそれって、やっぱり原作を読んでいるから思ってしまうことなんだろうなとも思って。原作では男が死んで、夏芽が見たそのあとのコウちゃんは出会ったときのように輝いていて、「おなじ濃度の闇を抱えて」*4光をまた取り戻していくコウちゃんの姿が現実として描かれていて、救いがあるのを知っているから、映画の終わり方に疑問を抱いてしまうんだろうなと思ったんでした。でもやっぱり気になるじゃんコウちゃんも戻りたかっただろうと思うじゃないかーーーーー。それともあの神々しい火祭りのコウちゃんを絡めることで、光として神聖化して見せてたってことなのかなあ。どうにも理解力がなくってわからん。でもあのシーンの菅田くんほんとすごかった。えっなにこれ菅田将暉のPVだったの????って思った。
…と、しょっぱなから悶々としたことを書き連ねてしまったんだけれども、映画化しないで欲しかったわーとかそういう文句があるわけではなく。映画には映画の良さがあるとももちろん思いました。そもそも映画化したことは純粋に嬉しいし、観てよかったと思うし、もう一回観たいとも思います。

  • キャストについて

個人的には夏芽は私の中の夏芽と解釈が同じように感じて違和感は本当になかった。菜奈ちゃんは本当に少女として美しく、そして中学生の無邪気な可愛さもあって*5、それでいてエネルギーに満ちていて、ぴったりだった。もちろん漫画のそのまんまなんて無理なんだけど、それでもうまく言えないけどすごくよかったー。セーラー服可愛すぎたね!!小松菜奈ちゃんの夏芽を見るためにもう一回観たいってとこある。正直それだいぶある。
逆に菅田くんのコウちゃんは、私が思うコウちゃんとは違うなと思った。あ、漫画でもこのセリフあったなこの場面あったなーとかいくつかハッとするところはあったんだけど、なんか高圧的に感じてしまったかなぁと。でもこれは映画で、菅田くんや監督がつくるコウちゃんなんだなと思いながら観てました。ただやっぱりすごく雰囲気がある人で、夏芽の写真集見たあとのキスシーンも、浴衣の帯結ぶところも、バスの中でのキスも、ピギャーーーーーーーー\(^o^)/ってなった…もちろん上に書いた火祭りのシーンももう本当に目を奪われたし、ラストシーンも素晴らしかったなぁと思う。
あと大友ね!!しげおかくんね!!!まがりなりにもジャニオタなのでしげおかくんの人となりはなんとなく知っているから、発表されたときあーこりゃハマり役だな楽しみだと思っていたのですが、なんていうか予想以上に大友イコールしげおかくんだった(笑)大友!!あっっいやしげおかくん…えっと大友…し、しげおかくん?!みたいな←分かりにくい でもそれがすごく良くて、しげおかくんこの映画出られてほんとよかったなって思いました。夏芽の家の旅館前でぐるぐる回ってるとことか、眉毛突っ込まれたときの返しとか、バッティングセンターのシーンとか、すごい普通で二人とも*6かわいかった…。バッティングセンターで噛んだとこ超しげおかくんって感じだった。夏芽とコウちゃんだとなんかこっちも緊張するから、その二人の幸せそうで仲よさそうで青春な感じが映画の中でも癒しだったなー。コウちゃんと夏芽のキスはドキドキして、大友と夏芽のキスはきゅーーーん!だった。
あとカナちゃん!上白石萌音ちゃんはほんとすごいなあ。中学時代から高校デビュー後の変貌というか、自信の表れがありありと見てとれて。原作だとカナちゃんのことも割とちゃんと描かれてるから態度が変わっていくのも理解できるけど、そんな掘り下げたシーンもない中、高校に入ってからは夏芽との対比みたいになっているのが面白いなと思った。あとやな感じも出ててすごいーーと思いつつも、女子高生姿かわいかった!!女の子に関してはそればっかり…。

  • おわり

でもやっぱり私が好きなのは漫画の『溺れるナイフ』だな、と、映画を見るにあたって読み返した原作に想いを馳せるのでした。小学生時代のエピソードが一番好きだからっていうのはあるかも。さすがに映画で小6から高3まで追いかけるわけにもいかないししょうがない。
それに私は原作を読んでいるからここに至るにはこういう流れがあって、っていうのをなんとなく理解できたというか補填しながら観ていたけど、純粋に映画を観るのが好きで映画だけを観たって人は唐突に感じるところもあるんだろうなと思った。*7時間の制限もあるからそれも仕方がないと思うけど、だから原作のあるものってきっとすごく難しいよね。ただ登場人物たちのその行動一つに至るまでにいろんなエピソードがあるから、映画観てすげーよかったと思う人もなんかわからんかったなーと思う人も原作ぜひ読んでほしい。ってこんな隅っこで呟いてもそんな届かないと思うけど(笑)

*1:なんか好きすぎるとついそういうところを探してしまう気がして

*2:原作では火付け祭りだったんだけど、火付けっていうのがよくないってことで変わったのかなー?とか思っていた

*3:なんかそんな感じだったけどはっきりは覚えてない!(笑)

*4:原作から引用

*5:撮影した時19歳だったのに!!!

*6:しげおかくんと小松菜奈ちゃん

*7:実際そういう意見もはてダのレビューで見た